日管連近畿ブロック研修会を受講してきました。
講演内容は管理不全マンションを分類し、各マンションで対応した具体例の紹介でした。

その管理不全マンションの分類が大変興味深いものでした。

まず、管理不全の定義として、マンション管理新聞に以下のような記事があったとのことでした。
<管理不全>
 マンションの維持・管理や修繕が適切に行われず、外壁が落下するなど周辺にも悪影響を与えている状態
<管理不全の兆候>
 管理運営における体制の未整備や資金不足等により、マンションの維持管理が適切に行われておらず、そのまま放置すると管理不全に陥ってしまう恐れがある状態

次に、この講師は管理不全のパターンを5つに分類し、実例をもとに解説がありました。

  1. 管理組合がなく管理不全となっている
    ① 管理組合未形成型
       例:当初は企業の所有であったが少しずつ売却し区分所有建物となった。
    ② 自治会管理組合型
       例:規約内容に問題や自治会役員で運営など自治会と区別できていない。
    ③ 世話人対応型
       例:世話人と呼ばれる方が、管理費等を必要に応じ徴収して対応している。
    ④ 相続分譲マンション型
       例:相続によって単独所有から分譲し区分所有建物となった。
    ⑤ 複合用途分譲型
       例:店舗部分と居住部分がうまくいかず分裂した
  2. 管理組合の人的問題により管理不全
    ① 名ばかり役員型
       例:理事会は開催なし、総会も決算報告のみ。規約内容に問題、未収金多し。
    ② ワンマン理事長型
       例:ワンマン理事長が去り、問題(運営不全、不正)が一気に露見。
  3. 事件性管理不全
    ① 理事長の交代により不正が発覚
       例:理事長と分譲会社等による癒着と思われる不正発覚。
    ② 長期にわたる組合の内部紛争型
       例:区分所有者の役員に対する名誉棄損訴訟。
  4. 管理会社原因の管理不全
    ① 管理会社フロント停滞型
       例:フロントマンの対応不十分や会計報告不履行。
    ② 管理会社任せ機能不全型
       例:管理会社社員による横領、管理会社の対応能力不足。
  5. 組合員の属性による管理不全(兆候)
    ① 管理組合のパワー低下型
       例:高齢化や外国人組合員の増加による運営不全。

管理組合が存在しない、又は機能していない。規約がない。管理費、修繕積立金が徴収されていない。必要な修繕が行われていない。長期修繕計画が策定されていない。役員のなり手がいない。役員が役割を果たせない。不正がある。クレーマーがいる。など多くの問題点が示され、行ったことと経過の解説がありました。

マンションでは、大小にかかわらず日常的に問題が発生しているのではないかと思われます。

今回、受講して感じたのは、相談の方法を見つけ、あきらめずに解決に向けて進めていった区分所有者さんの行動が素晴らしいということです。

気になること、問題があるとわかったときは、どうしていいかわからないと放っておかないで相談し、協力を受けてでも解決に向けて進めていくことが必要だと再認識しました。
マンション管理士の場合、相談だけなら費用が掛からないことが多いと思います。どんどん相談に活用すればよいと考えます。