法律事務所主催の勉強会に出席してきました。

今回のテーマは前回に引き続き、
大規模修繕工事に関わる問題が主なテーマでした。

一つ目の視点は、
設計監理コンサルタントの業務報酬について、
一級建築士の方々から資料を提供いただき学びました。

最初に、国土交通省発表の設計監理の業務報酬基準を
わかりやすい表を作成したもので解説してくださいました。

次に、あるマンションでの設計監理費用の業者別比較表を提示いただきました。
記載された見積金額は、国交省の基準とは大きく乖離しているものが大半でした。
国交省の基準報酬を妥当と考えるなら、全く採算が合わないと思える内容でした。
このケースでは、最も低廉な価格の設計事務所が選定されたとのことです。
同様の検討結果となるマンションが多いとのことでした。

二つ目の視点は、
管理組合、弁護士、設計事務所、工事会社による立場ごとに感じる問題点です。
 ・ 組合員である役員や委員がリベートを受け取ることもあるようだ。
 ・ 正論をいう組合員を理事会や委員会から排除する力が働く。
 ・ 管理会社にコンサル業務と工事会社選定を丸投げ。
 ・ 設計管理業務費のダンピング。
 ・ 過剰な営業活動が行われる。
 ・ 設計事務所や工事会社の募集条件と審査基準が不適切。
 ・ 設計監理に携わる技師の高齢化や過酷な労働環境。
 ・ 不適切コンサルの報道による誤解や先入観。
 ・ 公募条件が厳しすぎ特定の業者しか応募できない。
 ・ 設計会社と工事会社が詳しくない管理組合を置き去りで進めていく。
 ・ 発注者の立場に立った専門家が入らない。
 ・ 不正を排除する法律がない。

驚いたのが、報道でクローズアップされているコンサルだけでなく、
組合員がかかわる不適正事案が推定されるケースもあるようです。
さらに、管理会社は一番きついように思えるとの厳しい意見が聞かれました。
そういったことは聞いていましたが、本当にあるのだなと感じました。

また、工事会社の立場からは、数パーセント程度の負担を拒否して仕事を失うなら
その程度のリベートなど受け入れてでも受注することは当然の考えのようです。

これら不適切な事案を防ぐことは難しいのが実情です。
管理組合さんにこういったことを知っていただける機会がもっとあればいいですね。

これらが行われないようにするために、
発注者の立場に立った専門家を起用をする管理組合さんが増えているとのことです。
弁護士、建築士さんもそれが対策のための第一歩と感じていらっしゃるようです。

今回の勉強会で、問題点とそれに対するヒントもいくつかお聞きできました。
ただ、リベートや談合は証拠がつかめないこと多いことや、
想定しにくい方法で行われていることもあるようです。

簡単にいかない問題であることは否定できませんが、対策することは必要ですね。